rohs指令

4,4′‐メチレンビスアニリン

1965 年に英国エッピング地方で本物質に汚染された小麦粉から作ったパンを食べた84 人で、数時間から2、3 日以内に上腹部痛が起こり、その後黄疸が現われ、血清中のビルビリン、アルカリフォスフェターゼ及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの濃度上昇がみられた。
また、肝臓の生体組織検査では肝実質細胞及び胆管の傷害を認め、傷害は初期に炎症が現われ、その後肝小葉中心の胆汁うっ滞、肝細胞壊死及び変性へ進行した。死亡者はなく、全員が数週間以内に回復した。なお、暴露濃度は3 mg/kg と推定された 。
・ 1966~1972 年の間に絶縁体製造工場でエポキシ樹脂に粉状の本物質を混ぜる作業を行った若い男性労働者12 人で黄疸を伴う発熱が現われ、本物質の経皮吸収によるものと推定された。発症時における本物質の作業場での気中濃度は0.81 mg/m3 であった。また類似の症例では、別の工場で本物質を粉状にする作業を行った労働者が作業開始3 日後に肝炎を発症した。これらの症例では、全員が発症後10 週間以内に回復した 。
・本物質を含むエポキシ樹脂を床に塗っていた労働者4 人が急性肝炎を発症した。4 人のうち2人が数ヶ月後に本物質に暴露して再び肝炎を発症し、うち1 人で回復期間の長期化がみられた。
・1975~1984 年に、8247 人の患者(疾患不明)に本物質をパッチテストした結果、7.1~15%の患者が接触アレルギーを示した 。
・本物質で汚染された工場の側溝を清掃した労働者で、顔、首、手首の広い範囲にかゆみのある丘疹状の小水疱性発疹が現われた。
・ポリウレタンの成形工場で、成形作業に従事した女性労働者2 人の顔、首にかゆみのある丘疹状/小水疱性の発疹が現われ、工場で触媒として使用されている本物質及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアナート)でパッチテストした結果、陽性の反応が得られた。
・本物質4.1~8.1 mg/m3 で呼吸器系が刺激され、32.4 mg/m3 で眼に痛みのある刺激を生じる。