rohs指令

一部塩化パラフィン(C10-C13)

毒性と難分解性、生物濃縮性が高いことから、アメリカ合衆国では有害化学物質排出目録制度に基づき移動排出量の報告が義務付けられている。

日本では化審法に基づき、2005年2月に第一種監視化学物質に指定された。残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約による規制も検討されている。中華人民共和国では、食品からの短鎖塩素化パラフィンの摂取量が増加している研究結果がある。国際がん研究機関は炭素数12、塩素化率60%の塩素化パラフィンのヒトへの発癌性についてGroup2B(ヒトに対する発癌性が疑われる)と評価している。

短鎖塩素化パラフィンは難燃性,可塑性,金属加工の潤滑性,疎水性などを有することから,様々な用途に使用されている難分解性で高生物濃縮性の物質である.欧州連合(EU)では,リスク評価(EU 1999)の結果,水系への排出に伴う生態系へのリスクが懸念され,2004年に金属加工用途と皮革産業用途において短鎖塩素化パラフィンの使用が禁止されている.また,アメリカでも局所域の水生生物への有害影響を懸念して,毒性評価とともに河川濃度調査を行った結果をもとに,1995年から短鎖塩素化パラフィンをToxic Release Inventory (TRI)のリストに追加して,事業者に排出移動量の報告を義務付けている.
一方,日本国内ではこれまで規制はなく,PRTRの物質リストにも登録されていない.しかし,短鎖塩素化パラフィンを含む金属加工が,リサイクルが難しいこと,焼却によるダイオキシン発生の懸念から,塩素化パラフィンなどを含んだ塩素系金属加工油剤の自主削減が進みつつある.
2003年の化審法改正に伴い,短鎖塩素化パラフィンは難分解性で,かつ魚類への濃縮倍率が5,000倍以上と生物濃縮性が高かったことから(化学物質審議会 2004),2005年2月に第一種監視化学物質に指定された.そのため,今後は,事業者から届け出られた製造,輸入または使用の実態に関する情報に基づき,国が一定の暴露評価を行った上で,必要に応じて人や高次捕食動物への長期毒性に係る予備的な毒性評価を実施し,リスク評価が行われることになる.
したがって,この時点で短鎖塩素化パラフィンの詳細リスク評価を行ったことは,第一種監視化学物質に指定された25の化学物質(2006年1月現在)のリスク評価が今後実施される上で,非常に意義が大きい.